海外旅行時の薬の持ち込みはなぜ重要か
海外旅行に持病の薬や常備薬を持って行きたいが、「税関で申告は必要か」「英文処方箋は必要か」「どのくらいの量まで持ち込めるか」と不安に感じる方は少なくありません。
この記事では、海外旅行時の薬の持ち込み方法を段階別(日本出国時・機内持ち込み・渡航先国入国時)に、厚生労働省のガイドラインや税関のカスタムスアンサーを元に解説します。
市販薬・処方薬の持ち込み方、英文処方箋(薬剤証明書)の準備方法、渡航先国の規制確認方法を理解し、トラブルなく薬を持参できるようになります。
この記事のポイント
- 市販薬はパッケージごと持ち込むのがおすすめ(成分が不明だと税関で没収される可能性)
- 処方薬は病院で薬剤証明書を発行してもらうと税関でのトラブル回避に役立つ
- 医療用麻薬・向精神薬は事前に厚生労働省地方厚生局麻薬取締部の許可が必要
- 持ち込み量は滞在日数分が目安(それ以上は営業目的と疑われる可能性)
- 渡航先国の規制(禁止薬物・申告方法)は大使館・領事館に事前確認が必須
基礎知識:薬の持ち込みに関する用語と制度
海外旅行時の薬の持ち込みに関する基本用語を理解しておくと、手続きがスムーズになります。
(1) 薬剤証明書とは
薬剤証明書は、病院で発行される、処方薬の成分・用途を証明する書類です。英語表記が推奨され、税関で「この薬は何の目的で持っているのか」を説明する際に役立ちます。
発行方法は後述の「英文処方箋(薬剤証明書)の準備と注意点」で詳しく解説します。
(2) 医療用麻薬・向精神薬の定義
医療用麻薬は、強い鎮痛作用を持つ医薬品(モルヒネ等)で、海外への持ち出しには厚生労働省の事前許可が必要です。向精神薬は、中枢神経系に作用する医薬品(睡眠薬、抗不安薬等)で、国によっては厳格な規制があります。
詳細は厚生労働省のガイドラインで確認してください。
(3) 税関とカスタムスアンサー
税関は、日本出国時・入国時に荷物を検査する機関です。カスタムスアンサーは、税関が提供する輸出入に関するQ&A形式のガイドラインで、税関の公式サイトで確認できます。
日本出国時・機内持ち込みのルール
日本出国時・機内持ち込みのルールを段階別に解説します。
(1) 市販薬の持ち込み方(パッケージ保持が重要)
税関のカスタムスアンサーによると、市販薬は個人使用目的であれば種類・数量に制限なく持ち込み可能です。
ただし、パッケージごと持ち込むのが推奨されます。成分が不明だと税関で「これは何の薬ですか?」と聞かれ、没収される可能性があるためです。
市販薬の持ち込み例:
- 痛み止め・解熱剤(イブプロフェン、アセトアミノフェン等)
- 咳止め・風邪薬
- 下痢止め・胃腸薬
(参考: 医師監修記事)
(2) 処方薬の持ち込み方(薬剤証明書・お薬手帳)
処方薬を持参する場合、以下を携行すると税関でのトラブル回避に役立ちます。
- 薬剤証明書(英語表記推奨): 病院で発行される、処方薬の成分・用途を証明する書類
- 処方箋のコピー: 薬の処方内容を証明
- お薬手帳: 薬の種類・服用履歴を記録
(3) 医療用麻薬・向精神薬の事前手続き
医療用麻薬は、事前に厚生労働省地方厚生局麻薬取締部の許可が必要です。無許可で持ち出すと違法となります。向精神薬も、渡航先の国によっては厳格な規制があるため、薬剤証明書の取得が必須です。
詳細は厚生労働省のガイドラインで確認してください。
(4) 持ち込み量の制限(滞在日数分が目安)
持ち込み量は滞在日数分が目安です。それ以上の量(1-2ヶ月分を超える)は、営業目的と疑われる可能性があるため、事前に税関や大使館に確認してください。
渡航先国の入国ルールと禁止薬物
渡航先国によって薬の規制が異なるため、事前確認が必須です。
(1) 国別の主な規制例(米国・中国・タイ等)
在日米国大使館によると、米国ではロヒプノール、GHB、フェンフェンは持ち込み禁止です。処方薬は英語の処方箋または医師の証明書が必要で、医療用麻薬は事前許可が必要です。
中国、韓国、台湾、タイ、シンガポール、マレーシア、エジプトでは、違法薬物の密輸に死刑が適用されるため、禁止薬物の確認は必須です(参考: 医師コラム)。
(2) コデイン等の禁止成分
コデインは、咳止め・鎮痛作用を持つ成分で、一部の国では規制対象となります。コデインを含む市販の風邪薬(エスタックイブ等)は、国によっては持ち込み禁止の場合があります。
渡航先の規制は、厚生労働省のウェブサイト、税関のカスタムスアンサー、渡航先の大使館・総領事館で必ず確認してください。
(3) 違法薬物の厳罰(死刑適用国)
中国、韓国、台湾、タイ、シンガポール、マレーシア、エジプトでは、違法薬物の密輸に死刑が適用されます。「知らなかった」では済まされないため、禁止薬物の確認は必須です。
英文処方箋(薬剤証明書)の準備と注意点
処方薬を持参する場合、薬剤証明書の準備が推奨されます。
(1) 薬剤証明書の発行方法
薬剤証明書は、処方薬を発行した病院で依頼すれば発行してもらえます。発行費用は病院により異なりますが、3,000-5,000円程度が目安です(自費診療)。
発行までの日数は1-2週間程度かかる場合があるため、早めに依頼してください。
(2) 記載内容の確認ポイント
薬剤証明書には以下が記載されます。
- 薬の成分名(英語表記)
- 用途(治療目的)
- 処方量(1日の服用回数・量)
- 処方期間(滞在日数分)
記載内容に誤りがないか、受け取り時に必ず確認してください。
(3) 大使館・領事館への事前確認
渡航先国の規制(禁止薬物・申告方法)は、大使館・領事館に事前確認してください。厚生労働省のウェブサイトでも、国ごとの医薬品輸入制度が確認できます。
まとめ:状況別の持ち込み手順と確認事項
海外旅行時の薬の持ち込みは、市販薬・処方薬ともに個人使用目的であれば一定範囲内で可能です。市販薬はパッケージごと持ち込み、処方薬は薬剤証明書を発行してもらうと税関でのトラブル回避に役立ちます。
医療用麻薬・向精神薬は事前許可が必要で、持ち込み量は滞在日数分が目安です。渡航先国の規制(禁止薬物・申告方法)は、大使館・領事館に事前確認が必須です。
詳細は厚生労働省のガイドラインや税関のカスタムスアンサーで必ず確認してください。必要に応じて医師や薬剤師に相談しながら、安全な旅行を実現しましょう。
