旅館とホテルの違いを徹底解説|設備・料金・サービスの比較

著者: Tripfolio編集部公開日: 2025/11/29

旅館とホテル、どちらを選ぶべきか

旅行計画を立てる際、宿泊施設選びで「旅館とホテル、どちらにするか」と迷う方は少なくありません。旅館とホテルは、設備・サービス・料金体系が大きく異なり、それぞれに適した利用シーンがあります。

この記事では、旅館とホテルの違いを、法律上の定義(旅館業法)・設備・サービス・料金相場の観点から厚生労働省の公式情報を元に解説します。

初めて宿泊施設を選ぶ方でも、旅館とホテルの違いを理解し、自分に合った宿泊施設を選べるようになります。

この記事のポイント

  • 2018年6月15日の旅館業法改正により、旅館とホテルは「旅館・ホテル営業」として法的に一本化された
  • 旅館は和室・1泊2食付・温泉/大浴場・仲居さんのおもてなしが特徴
  • ホテルは洋室・朝食付or素泊まり・ユニットバス・プライバシー重視が特徴
  • 旅館の平均宿泊料金は約15,000円/1泊2食付、ホテルは6,000円~15,000円/泊
  • 温泉旅行・観光なら旅館、ビジネス出張・短期滞在ならホテルが適している

旅館とホテルの法律上の違い(旅館業法)

(1) 旅館業法の定義と2018年改正

旅館とホテルは、旅館業法により規制されています。厚生労働省によると、旅館業法とは「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を規制する法律」です。

旅館業法の概要

  • 1948年制定
  • 旅館業には「旅館・ホテル営業」「簡易宿所営業」「下宿営業」の3種がある
  • 宿泊者の安全・衛生を確保するための基準を定める

2018年6月15日改正前の定義

  • 旅館営業: 和式の構造・設備を主とする施設、客室数5室以上
  • ホテル営業: 洋式の構造・設備を主とする施設、客室数10室以上
  • 客室数・広さで明確に区別されていた

(2) 旅館・ホテル営業の一本化

政府広報オンラインによると、2018年6月15日の旅館業法改正により、「旅館営業」と「ホテル営業」は「旅館・ホテル営業」として一本化されました。

一本化の背景

  • 旅館でもベッドや洋食レストランを導入する施設が増え、ホテルと旅館の境界線が曖昧化
  • 和式・洋式の区別が実態に合わなくなった
  • 規制を簡素化し、施設の多様化に対応

旅館・ホテル営業の要件(改正後):

  • 施設を設け、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業
  • 客室数・和式洋式の区別なし
  • 安全衛生基準を満たすこと

(3) 法的には同じでもサービスは大きく異なる

旅館業法上は「旅館・ホテル営業」として一本化されましたが、9STAYによると、実際のサービス内容は大きく異なります。

旅館の特徴

  • 和室・畳
  • 1泊2食付が基本
  • 仲居さんによる細やかなサービス
  • 温泉・大浴場が充実

ホテルの特徴

  • 洋室・ベッド
  • 朝食付または素泊まりが基本
  • プライバシー・セキュリティ重視
  • 客室内のユニットバス・シャワーが多い

設備・サービスの違いを徹底比較

(1) 客室の違い(和室・畳 vs 洋室・ベッド)

旅館とホテルの最も目立つ違いは、客室の構造です。

項目 旅館 ホテル
部屋のタイプ 和室・畳 洋室・ベッド
寝具 布団(仲居さんが敷設) ベッド(事前にセット済)
家具 座卓、座布団 テーブル、椅子
雰囲気 和の趣、落ち着いた雰囲気 現代的、機能的

エアトリによると、旅館は和室・畳が基本で、仲居さんが布団を敷いてくれるのが特徴です。一方、ホテルは洋室・ベッドが基本で、事前にベッドがセットされています。

注意点

  • 近年、旅館でも洋室・ベッドを導入する施設が増加
  • ホテルでも和室を設ける施設がある
  • 施設により異なるため、予約前に確認を推奨

(2) 食事の違い(1泊2食付 vs 朝食付・素泊まり)

旅館とホテルでは、食事の提供方法が大きく異なります。

項目 旅館 ホテル
基本プラン 1泊2食付(夕食+朝食) 朝食付または素泊まり
夕食 会席料理、郷土料理 レストラン利用(別料金)
朝食 和食(ご飯、味噌汁、焼き魚等) 和洋バイキング、パン等
食事場所 客室または食事処 レストラン・バイキング会場

旅館の食事の特徴

  • 1泊2食付が基本(料金に夕食・朝食が含まれる)
  • 仲居さんが客室または食事処で配膳
  • 会席料理や地元の郷土料理が楽しめる

ホテルの食事の特徴

  • 朝食付または素泊まりが基本
  • 夕食は外食またはホテル内レストラン利用(別料金)
  • 朝食は和洋バイキング、パン等

(3) 浴場の違い(温泉・大浴場 vs ユニットバス・シャワー)

浴場の設備も、旅館とホテルで大きく異なります。

項目 旅館 ホテル
浴場のタイプ 温泉・大浴場が充実 客室内のユニットバス・シャワー
共用浴場 大浴場・露天風呂 なし(または別料金)
客室浴場 客室に専用浴場がある場合も ユニットバス(浴槽・洗面台・トイレ一体)

エアトリによると、旅館は温泉や大浴場が充実しており、宿泊客が共用で利用できます。一方、ホテルは客室内のユニットバス・シャワーのみが多く、大浴場は少ないです。

温泉を楽しみたい場合

  • 旅館が適している(温泉・大浴場・露天風呂が充実)
  • ホテルでも温泉付きリゾートホテルがあるが、旅館ほど充実していない場合が多い

(4) サービスの違い(仲居さんのおもてなし vs プライバシー重視)

旅館とホテルでは、サービスの方針が異なります。

項目 旅館 ホテル
サービス方針 「おもてなし」を重視 「プライバシー・セキュリティ」を重視
接客スタイル 仲居さんによる細やかなサービス フロント対応、客室への出入り最小限
客室への出入り 仲居さんが布団の敷設、食事の配膳で出入り 清掃時以外はほぼなし
チェックイン/アウト 時間が決まっている(例: 15:00-10:00) 深夜チェックイン・早朝チェックアウト可

ホテルビズによると、旅館は仲居さんによる布団の敷設や食事の配膳など細やかなサービスがあり、「おもてなし」を重視しています。一方、ホテルは「プライバシー・セキュリティ」を重視し、客室への出入りは最小限です。

旅館のサービスの特徴

  • 仲居さんが布団を敷いてくれる
  • 食事を客室または食事処で配膳
  • 浴衣・タオルの提供
  • 人と接する機会が多い

ホテルのサービスの特徴

  • セルフサービスが基本
  • フロント対応のみ、客室への出入りは最小限
  • プライバシー確保、セキュリティ重視
  • 深夜チェックイン・早朝チェックアウトに対応しやすい

料金相場の違いと予算の目安

(1) 旅館の料金相場(平均15,000円/1泊2食付)

おもてなしHRによると、旅館の平均宿泊料金は約15,000円/1泊2食付です。

旅館の料金相場(2025年時点):

利用シーン 1人あたり料金(目安) 備考
カップル・夫婦 15,000円~30,000円 温泉旅館、会席料理込み
家族旅行 12,000円~25,000円 小学生以下割引あり
グループ旅行 10,000円~20,000円 複数人利用で割引

料金に含まれるもの

  • 宿泊費
  • 夕食(会席料理・郷土料理)
  • 朝食(和食)
  • 温泉・大浴場の利用
  • 仲居さんのサービス

(2) ホテルの料金相場(ビジネスホテル6,000円、シティホテル10,000円、リゾートホテル15,000円)

エアトリによると、ホテルの料金相場は以下の通りです。

ホテルの料金相場(2025年時点):

ホテルタイプ 1人あたり料金(目安) 備考
ビジネスホテル 6,000円~ 素泊まりまたは朝食付
シティホテル 10,000円~ 朝食付、設備充実
リゾートホテル 15,000円~ 温泉付きリゾートホテル等

主要都市の平均宿泊料金

  • 東京: 12,704円
  • 大阪: 11,637円
  • 京都: 13,767円

(参考: エアトリ、2025年時点)

料金に含まれるもの

  • 宿泊費
  • 朝食(朝食付プランの場合)
  • ユニットバス・シャワーの利用

(3) 繁忙期の料金変動と予約のタイミング

旅館・ホテルともに、繁忙期は料金が大きく変動します。

繁忙期

  • ゴールデンウィーク(GW)
  • 夏休み(7月下旬~8月)
  • シルバーウィーク(9月中旬)
  • 年末年始(12月下旬~1月上旬)
  • 桜・紅葉シーズン(地域により異なる)

料金変動の目安

  • 繁忙期は通常期の1.5~2倍に高騰する可能性あり
  • 早期予約割引(3ヶ月前予約で10-20%割引)の活用を推奨
  • 直前予約は空室があれば割安の場合もある

予約のタイミング

  • 繁忙期は3ヶ月前までの予約が推奨
  • 通常期は1ヶ月前でも予約可能
  • 旅館は1泊2食付のため、早めの予約が確実

利用シーン別のおすすめ選択

(1) 温泉旅行・観光なら旅館(食事の手配不要、細やかなサービス)

温泉旅行・観光を楽しみたい場合、旅館が適しています。

旅館のメリット

  • 食事の手配不要: 1泊2食付で夕食・朝食が込み
  • 温泉・大浴場: 温泉や露天風呂が充実
  • 細やかなサービス: 仲居さんによる布団の敷設、食事の配膳
  • 会席料理: 地元の郷土料理が楽しめる

旅館のデメリット

  • 時間の融通が利きにくい: チェックイン/アウトの時間が決まっている
  • 人と接する機会が多い: 仲居さんが客室に出入りするため、プライバシーを重視する人には不向きな場合がある
  • 料金が高め: 1泊2食付で平均15,000円~

(2) ビジネス出張・短期滞在ならホテル(時間の融通、プライバシー)

ビジネス出張・短期滞在には、ホテルが適しています。

ホテルのメリット

  • 時間の融通が利く: 深夜チェックイン・早朝チェックアウトに対応しやすい
  • プライバシー確保: 客室への出入りは最小限、セキュリティ重視
  • 急な宿泊に対応可能: 素泊まりプランで当日予約も可能
  • 料金が安め: ビジネスホテルなら6,000円~

ホテルのデメリット

  • 食事は別料金: 夕食は外食またはホテル内レストラン利用(別料金)
  • 温泉・大浴場が少ない: 客室内のユニットバス・シャワーが多い
  • サービスは最小限: セルフサービスが基本

(3) それぞれのメリット・デメリット

ホテルビズによると、旅館とホテルのメリット・デメリットを以下にまとめます。

旅館のメリット

  • 食事の手配不要(1泊2食付)
  • 細やかなサービス(仲居さんのおもてなし)
  • 温泉・大浴場が充実
  • 会席料理・郷土料理が楽しめる

旅館のデメリット

  • 時間の融通が利きにくい
  • 人と接する機会が多い
  • 料金が高め

ホテルのメリット

  • 自由度の高さ(深夜チェックイン・早朝チェックアウト可)
  • プライバシー・セキュリティ確保
  • 急な宿泊に対応可能
  • 料金が安め(ビジネスホテルなら6,000円~)

ホテルのデメリット

  • 食事は別料金
  • 温泉・大浴場が少ない
  • サービスは最小限

まとめ:自分に合った宿泊施設の選び方

旅館とホテルは、2018年6月15日の旅館業法改正により「旅館・ホテル営業」として法的に一本化されましたが、実際のサービス内容は大きく異なります。旅館は和室・1泊2食付・温泉/大浴場・仲居さんのおもてなしが特徴で、ホテルは洋室・朝食付or素泊まり・ユニットバス・プライバシー重視が特徴です。

料金相場は、旅館の平均が約15,000円/1泊2食付、ホテルはビジネスホテル6,000円、シティホテル10,000円、リゾートホテル15,000円が目安です(2025年時点)。繁忙期は通常期の1.5~2倍に高騰する可能性があるため、早めの予約を推奨します。

温泉旅行・観光なら旅館(食事の手配不要、細やかなサービス)、ビジネス出張・短期滞在ならホテル(時間の融通、プライバシー確保)が適しています。自分の旅行目的・予算・スタイルに合わせて、最適な宿泊施設を選びましょう。

よくある質問

Q1旅館とホテルの法律上の違いは何ですか?

A12018年6月15日の旅館業法改正により、旅館とホテルは「旅館・ホテル営業」として法的に一本化されました。改正前は客室数・広さで区別されていましたが(旅館営業: 和式・客室数5室以上、ホテル営業: 洋式・客室数10室以上)、現在は法的に同一のカテゴリーです。詳細は厚生労働省の旅館業法ページでご確認ください。

Q2料金の相場はどれくらいですか?

A2旅館の平均宿泊料金は約15,000円/1泊2食付です(2025年時点)。ホテルはビジネスホテル6,000円、シティホテル10,000円、リゾートホテル15,000円が目安です。繁忙期(GW・夏休み・シルバーウィーク等)は通常期の1.5~2倍に高騰する可能性があるため、早めの予約を推奨します。

Q3旅館とホテル、どちらがおすすめですか?

A3至れり尽くせりなら旅館がおすすめです(食事の手配不要、温泉・大浴場、仲居さんの細やかなサービス)。自由度重視ならホテルが適しています(時間の融通が利く、プライバシー確保、急な宿泊対応可能)。温泉旅行・観光なら旅館、ビジネス出張・短期滞在ならホテルが適しています。

Q4旅館とホテルのサービスの違いは?

A4旅館は仲居さんによる布団の敷設や食事の配膳など細やかなサービスがあり「おもてなし」を重視します。ホテルは「プライバシー・セキュリティ」を重視し、客室への出入りは最小限です。旅館は人と接する機会が多く、ホテルはセルフサービスが基本です。

Q5旅館とホテルの浴場の違いは?

A5旅館は温泉や大浴場が充実しており、露天風呂がある施設も多いです。一方、ホテルは客室内のユニットバス・シャワーのみが多く、大浴場は少ないです。温泉を楽しみたい場合は旅館が適しています。ホテルでも温泉付きリゾートホテルがありますが、旅館ほど充実していない場合が多いです。

T

Tripfolio編集部

Tripfolioは、旅行・観光に関する実践的な情報を提供するメディアです。観光スポット、旅行計画、宿泊施設、グルメ情報など、旅行者に役立つ情報を分かりやすく解説しています。

関連記事